根管治療

根管治療とは

根管治療は、歯根の先端周囲の組織に炎症を起こしている細菌を減らすことで、炎症を止めて治癒へと導く治療です。歯の根管の中から「虫歯が進行した歯の神経」「細菌」「古い充填材料」などを、細い針状の器具(ファイル)やマイクロスコープなどを用いて丁寧に取り除いていきます。精密さが求められる治療ですが、状況に合わせた治療をおこなうことで、歯を抜かずに使い続けることができる治療法です。

根管治療は歯内療法とも呼ばれ、歯内療法は主に以下3つの治療に分けられます。

  1. 歯髄保存療法(歯の神経をなるべく残す治療)
  2. 根管治療(歯の神経管の治療:神経を除去することや再治療すること)
  3. 外科的歯内療法(上記の根管治療では治癒が難しい場合の外科的治療)

上記のように、歯内療法の一つの治療にあたるのが②根管治療ですが、上記の3つの治療を一般的に総称して根管治療と呼びます。
②の根管治療にできるだけ移行しないようにする予防的な治療が①の歯髄保存療法、②の根管治療のみではなかなか治らないような場合には③の外科的な歯内療法をおこないます。

根管治療の成功率は?

根管治療は、お口の状況に合わせた治療をおこなうことで、このような結果が得られることが報告されています。初期の治療段階で食い止めることで、成功率が高くなります。
当院では、できる限り細菌を取り除き、歯を保存できるように努めています。

成功率

初めての神経治療 90%
病変が存在していた場合 80%
神経の再治療 60%
根の形が変形していた場合 30〜50%

参考文献

・ N. YL et al. Outcome of primary root canal treatment: systematic review of the literature - part1. Effects of study characteristics on probability of success. Int Endod J. 2007;40:921-939
・ Gorni FG, Gagliani MM. The outcome of endodontic treatment. a 2-yr folloe-up. J Endod.2004;30:1-4
・ N. YL et al. Outcome secondary root canal treatment: a systematic review of the literature. Int Endod J. 2008;41:1026-1046

成功率は“ 病変の治癒 ”

歯内療法における成功率とは「根尖性歯周炎の治癒」を指すものであり、歯がどれくらい長持ちするかを示すものではありません。
例えば、病変が治癒しても、歯が薄く割れてしまった場合には抜歯が必要となることがあります。病変以外にも、歯の残存体積(虫歯除去後)、咬み合わせ等も歯の寿命に影響するため、歯内療法の成功率90%が、そのまま歯の寿命につながるわけではありません。また、歯内療法が成功した後には、精密なかぶせ物治療を速やかにおこなうことで、細菌の再侵入や歯の破折リスクを減らすことができます。
「歯内療法が成功したから大丈夫」とは考えず、歯をより長く保つための治療をあわせて受けていただくことをおすすめしています。

こんな状況やお悩みありませんか?

  • 長引く歯の痛み
  • 噛むと痛い
  • 歯茎がおできの様に腫れてきている
  • 根の治療を何回も繰り返している
  • 何度通っても一向に症状が良くならない
  • かぶせ物を頻繁に交換しても症状が良くならない
  • 歯の違和感・痛み
  • 歯が黒い・変色(過去に歯をぶつけた経験がある)
  • 歯根嚢胞(しこんのうほう)と言われた
  • 歯根破折と言われた
  • もう治療のしようがない、歯を抜くしか無いと言われた
  • 他院で抜歯と診断された
  • 治療は終わった、と言われたが痛みが取れない
  • 痛みや腫れがあるのに様子を見ましょうと言われた

上記に一つでもあてはまる方、お悩みの方はお気軽にご相談ください。

虫歯治療や根管治療でなかなか治らない原因

虫歯治療や根管治療でなかなか治らない原因はいくつかありますが、その原因は大きく分けて主に以下の3つです。

  1. 無菌的な環境になっていない
  2. 治療テクニックのポイント
  3. 治療以外の原因

無菌的な環境づくり

虫歯進行における根の病気は「細菌の感染」のため、細菌をできる限り少なくすることが根管治療で重要になります。しかし、ただ細菌を除去し、お薬をつめる作業を繰り返したとしてもそれだけでは十分とは言えません。以下の事項を守ることが細菌を少なくするために大切になります。

  • 使用する器具機材の十分な滅菌等
  • ラバーダム防湿による唾液中の細菌を防止
  • 歯を削るバーなどの使い捨てによる細菌防止
  • 根の中の清掃をするファイルの使い捨てによる細菌防止
  • 薬液などによる根の中の細菌の消毒
  • 十分な穴の封鎖
ラバーダム防湿による唾液中の細菌を防止
根の中の清掃をするファイルの使い捨てによる細菌防止

これらを時間的理由、コスト的な理由で省いたり簡易的に済ませてしまうと、そこで成功率が下がるリスクが高まります。

治療テクニックのポイント

歯内療法を治療するドクターは主に以下のテクニックに気をつけています。保険治療ではどうしても制約があるため、テクニックに気をつけていても、実現が難しい現状があります。

  • 理想的な神経の露出
  • 理想的な歯の長さの測定
  • 理想的な根の中の掃除
  • 見逃しの根管の確認
  • 理想的な薬液での洗浄
  • 薬剤で根管内の細菌を減少
マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)の使用

マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)の使用

肉眼と比較し2~20倍に拡大して根管の見逃しを防ぎ、より精密な根管治療ができるようになります。
マイクロスコープは、拡大して治療できる器具のため、マイクロスコープがあるため、成功率が高くなるわけではありません。

歯内療法に関する様々な文献の検討

様々な文献を読み、インプットした知識をアウトプットし、様々な症例をディスカッションすることで、診断力や形成・充填などの細かいスキルの研鑽、知識のアップデートをしています。

無菌的処置

ファイルやバーなどの使用する器具器材の滅菌や使い捨て、ラバーダム防湿など、治療する歯に対しての無菌的処置をできる限りおこなっています。

治療器具の選定

当院では、国内外のエビデンスや文献に基づき、常に新しい知見を取り入れ、機器・材料を慎重に選択して使用しています。

十分な治療時間の確保

治療時間は1回に60分から90分、1回から3回の通院で治療するため、保険診療では限度があります。

治療以外の原因

虫歯治療や根管治療で治らない原因は主に以下の点が挙げられます。

歯の中の形態はとても複雑

根の神経管の形態は複雑で、一般的な器具器材・薬剤では届かない所まで感染してしまい、全てを消毒することが不可能なケースもあります。

薬が効かない細菌もいる

インフルエンザなどの感染症でもそうですが、薬に抵抗する細菌の存在(耐性菌)が報告されています。

根の外での細菌感染

根管の中だけなく、外にも細菌に感染し、根の治療ができないケースがあります。

細かい根管の見逃し

高倍率のマイクロスコープを使用したとても見えない根管、また見えたとしても届かない根管もあります。

根管の拡大形成の限界

嚢胞、根の破折など

保険治療の範囲では、根管治療の成功率を上げる必要な器具や器材、薬剤等の使用が認められていません。そのため治療範囲が限られてしまいます。また根管は複雑で一度細菌に感染してしまうと完全に除去することが困難となり、なかなか治らない状態になりやすいという点もあります。

上記のような要件が重なり合うこともあり、保険の治療だけでは難しく、なかなか治らない現状もあります。

外科的歯内療法

外科的歯内療法は、根管治療で十分に清掃できなかった部分(根の先端)を切除し、感染源を取り除いた上で、切断面に特殊なセメントをつめて根管内と外部を遮断する治療方法です。

マイクロスコープや超音波器具などの導入により、外科的歯内療法の成功率が高まりました。

※成功率とは、根尖病変の治癒を指すため、どれくらい歯が長持ちするかということとは別になります。

歯根端切除術

歯根の先端を3ミリほど除去し歯を保存する治療法です。
当院がおこなう歯根端切除術は必ずマイクロスコープ下でおこないます。

術式の流れ

  1. 骨に3~4mm程度の穴を空けます
  2. 歯根の先をマイクロスコープで見ながら3mm程度歯根を切除します
  3. 切除後は特殊な染め出し液で切断面を染め出し、マイクロミラーを使って染め出された感染源を確認します
    切除後は特殊な染め出し液で切断面を染め出し、マイクロミラーを使って染め出された感染源を確認します
  4. 超音波トップを使用して逆根管形成をおこない汚れを除去します
  5. 逆根管充填という方法で根管にMTAをつめ、細菌の出口を封鎖します

上記の方式で感染源をシャットアウトします。この流れを必ずおこなっています。

超音波チップ

昔は超音波チップではなく、大きいバーのようなもので逆根管形成をしていたので、大きく歯根を削らざるを得なかったのですが、現在では専用の超音波チップによって形成することができるので、根管の形を変えることなく保存的に形成することができます。

これにより成功率が高まり、マイクロスコープを使用することで、侵襲が少なく患者さんの負担軽減にもつながりました。治療時間は歯の本数にもよりますが、1回のチェアタイムは2時間程かかります。

部位によっては歯根端切除ができないことがあります

上下7番目の奥歯で歯根が密接している場合、下顎の5番目の小臼歯でオトガイ孔(下顎神経)に近い場合など、歯の部位によっては歯根端切除ができないことがあります。

ルートアンプテーション

ルートアンプテーション

ルートアンプテーションは、歯根端切除術の延長で歯根を短く切ってしまう方法で、歯根部分のみを切り取り、歯冠部分は元の形態を保つ治療方法です。適応症は歯根の複数ある大臼歯です。

費用について

CT撮影 10,000円
材料費 7,000円~ / 回
前歯 50,000円~
小臼歯 70,000円~
大臼歯 90,000円~

※かぶせ物治療等を当院で受けていただく場合に限ります。
※かぶせ物は別費用となります。
※費用はすべて税込み表記です。